ライカを所有したことは無いが手にしたことは何度もある。初めて触れたのは大学一年の化学の授業で感光剤の講義だったと思うが先生がライカを持参され学生たちに触らせてくれたときのことである。既にメッキが部分的に磨耗して金属肌が見えているような年代物でありながら沈胴方式のレンズの出し入れがガタ一つなくスムースであることを得意げに話されていたのが印象的だった。
教養課程の終了後、学部に配属されてから親しくなった友人がライカを持っていたので時々シャッターを押す機会があった。沈胴式ズミクロン 50mm F2 付きのカメラだったが珍しいタイプで、手持ちで使うことのないスローシャッターを省いてコストダウンを図ったものらしい。フォーカルプレーンのスローシャッターは先幕の走行が終わって露出が終わってから後幕がスタートするので、先幕と後幕がスリットを形成しながら同時に走る高速時とは制御方式が異なることからライカは高速、低速のシャッターダイアルを2軸に分けていたらしく、スナップ専用カメラにスローシャッタは不必要とのドイツ的合理主義の産物だったらしい。 後に頼まれて、このカメラで結婚式のスナップを撮った記憶がある。底蓋を外してフィルムを装填するという信じられない構造であることを知ったのもその時であった。ドイツがドイツらしかった時代のライカには手にした時ずっしりとした金属製精密機械を持つ喜びが全身に伝わって来るようだった。そんなライカを自分で所有したいと思わなかったのも今から思えば不思議なことであるが、ほんの少し生まれるのが遅かったことがライカの没落に立ち会うという運命をもたらしたようである。 by digitaloEX | 2007-06-26 11:07 | カメラ遍歴
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